雨と桜と重たいリュック
思い出っていうのはそこらじゅうに転がっている
記憶力はいい方だ
だから、あの時こういうことがあって、こういう話をして、っていうことは大抵覚えている
会話やら情景やらをよく覚えてるのは何度も頭の中でグルグル反芻させるからなんだろうなとおもうけど、そうしないと忘れる生き物でしょう人間って 頭の中で自然にやってるんだから便利なものだな
覚えているのだけど、普通にしてても記憶は出てこないから、思い出す
思い出すという動作をすっ飛ばして、降ってくる記憶
この匂い、この音楽、この場所、この言葉、同じような感覚を五感で感じてズンと頭に飛び込んでくる記憶
楽しい記憶もあろうが、あんまり思い出したくない記憶も多い そういうのに限って自分の中の何かトラウマ的なモノを呼び覚まして、もれなく情緒不安定になるということだ
楽しかった記憶は楽しかったものとして残る
これはいつまでもいつまでも楽しかったという記憶として残るのだろうか
もし喧嘩したら、話さなくなったら、あの時は良かったを通り越して嫌な記憶に
楽しかったその時間まで嘘になって、気持ちも嘘になって、作り変えられるその記憶はもう本物じゃない
こんなことを考えるとあれもこれもどれも信じられなくなってくるからどうしたものか
3月ってだけでいろいろ思い出すことは多い
なんたって21回目の3月なのであって、そう考えると流れた月日は半端じゃない
あれもこれも、楽しかったけどいまはどうかな
おんなじ気持ちで笑えるだろうか
わたしの生活の中に存在する記憶やトラウマは次々に現れて、本当に新しいことに出会わない限りその中で生きていかねばならなくて、息ができない
聴けなくなった音楽、勿体無い
自分の我儘のせいで本当に良いモノを閉ざして、耳を塞いで、蓋をして
音楽はその時の情景を鮮明に思い浮かばせて、キュウと締まる心臓となんとも言えない虚無感と
最近は悲しい思い出より楽しい思い出のほうが涙が出そうになる
トトロを観て泣くのは大人になれば当たり前のことなんだってN野が言ってたけど流石に冒頭で泣く気狂いはわたしくらいだろうとおもう
みんな歩いているのにわたしだけ止まっているような、置いてけぼりを食らっているような
手を伸ばしたら届くのかすらわからなくて手も伸ばせずにいるような
頭の中を巡るのはいつも成功の映像で、これだから甘いというのか
出来れば全部全部失敗なんかしたくないから、しっかり歩かないといけない
これで良かったって言えるような人生を送って、にこにこしながら死に絶えたい
死ぬ前に桜が見たいな
お酒飲みながら
台風18号/NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST -NakamuraEmi