蛙の子、孵らず

冬が終わる。また春が来るね。

 

今年の桜は時期が早くて、卒業式には間に合わず、入学式には散ってしまうような微妙な咲き方だったけど、勤務校の正門の枝垂桜は卒業式の日に綺麗に咲き誇って、子供達の門出に良く映えた。

 

最近の小学生の卒業式では、女の子は袴を着る子が多いのですよ。3年前はびっくりしたけど、もう慣れたな。(階段で転ぶしすぐに着崩れるから正直やめてほしい。)

 

一生に一度の卒業式ですから、大人も子供も気合が入るのは大いに分かる。

今年は、その「一生に一度の卒業式」ですら、あるかどうか分からなかったり、無くなってしまったり。大変な騒ぎになっていて、教育現場も毎日変わる状況にバタバタしている次第です。

 

出来れば、子供達も、大人も、みんなみんな心も体も健康で、上手に事態が収束してくれればいいなぁと思うけど、いつまで続くのやら。そろそろ他人事じゃ居られなくなってしまう感じがする。ニュースもSNSも、どこもかしこも暗いニュースばっかりで嫌になっちゃうな。

 

上野動物園のシャンシャンが産まれた時みたいに、「シャンシャン、すくすく成長」とかそういうニュースでいっぱいになればいいのに。

 

まぁ話は変わるんですが、うちの小学校に「心の池」っていう、メダカが居たり金魚が居たりする楽しい池があるんです。

3月頭くらいかなぁ、ヒキガエルが3匹くらい来ていて、心の池の中に蛙の卵がどんどん増えていったときがあったんだよ。

学童さんのお子を午前だけ預かってる時、休み時間は、お子とずっと蛙と蛙の卵を観察してたんだけど、ありゃすごいんだ。

 

透明なチューブみたいな、どこまでも長い長いゼリーみたいな物の中に、黒いツブツブが所狭しと並んで、多分数千は産まれるんじゃないかっていうかんじだったんだよね。

 

「こりゃ、心の池じゃなくて、蛙の池になるな!!!ガハハハ!!!」なんて言ってたんだけど、まぁ結局産まれなかったんだよ。おじいちゃん先生が、「オスが来なかったから無精卵だったんだろうね」って。

 

なんだ、そういうこともあるのか。と思ったんだよね。

新しい命が産まれるっていうことにすごくワクワクしてたけど、あんなに卵を産んだけど、産まれないこともあるんだって。

うちの地域はカラスが多くて、ヒキガエルなんて格好の餌で、手が無くなっちゃってた子もいたし、死んじゃったのだっていた。

 

池の中に、「おたまじゃくしになりたかったもの」がたくさん沈んでいて、それも悲しかった。

卵を産む数が少ないほど、しっかり成長できる確率が高いっていうか、まあ人間なんかは1産んだら1育つから、2も3も同時に産む必要がないっていうか、そういうのを聞いたことがあるけど、蛙はあんなに産むんだから、ちゃんと産まれてこられたり、大人まで成長できる確率は低いんだろうなぁ。

 

生き物の生き死には、すぐ近くに転がっていて、自分が直接手を下しているものも少なからずあるでしょう。

なんか、そういうことに敏感でありたいなぁ。

 

職場の先輩と、特性についての話になった。

職業柄、多動とかLDとか、そういう子たちは見てきているけど、自分はどうなんだろう、私たちにも特性があるんですかねって。

 

職場の先輩が言うに、「言い方は悪いけど、人類みんな障害者」らしい。

みんな何らかのやりづらさとか特性を抱えて、どうにか上手くやってるんだって。

 

わたしなんかは、明らかに注意散漫、多動、思ったことはすぐに口から出したいタイプで、2年前にもってたアスペルガーの男の子にそっくりだ。(このお子、めちゃくちゃ問題児だった)

 

話をしてた先輩に、先輩の特性ってなんですかねぇって聞いたら、「俺は多分、理由があれば人を殺せるんじゃないかって。そういうところだと思う。」って言ってた。とってもクレバーな普段を見ているだけに、立派にネジがぶっとんでいてびっくりした。わたしには絶対むりだ。

 

やまゆり園の事件の犯人に死刑判決が下された時に、被害者の家族の人たちのコメントが出てたんだよね。

 

「私たちが望んだ判決が出て良かったです」

 

なんかよく分かんなくなっちゃって。確かに凶悪な事件で、たくさんの人を殺してる犯人なことには間違いないし、家族を傷つけられたり、亡くなってしまった大事な人のことを思うのも分かる。分かるけど、なんだか違和感が残った。

 

人を殺した人は、殺されていいのか。

死刑を決めた人は人殺しにはならないのか。

被害者の人たちは、犯人に「死ね」って思っているわけで、それは結局犯人のしたことと同じにならないか。

 

倫理なんてことは説かれてもよく分からない。そんなの道徳で学んでない。どっちの味方するとかそういうことじゃないけど、どっちにも味方しないとしてね、結局何が正解なんだろうなぁ。

 

わたし以外の人ももしかしたら感じる感情なのかもしれないけど、自分でそこに辿り着いたから、これはちゃんとわたしの感情だ。

 

だからって悪いことをした人を庇うとか、罪は償わなくていいとか、そういうことを言ってるんじゃなくて、なんか変だなぁって思ったことを、ちゃんと残しておきたい。

 

みんながみんな楽しく生きていける方法ってないんだろうか。

あの人を殺すより面白いことをしよう。

 

 

私/Same Thing -星野源